持ち家は得なの?・損なの?

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はじめに
よく家探しのお客様に、不動産屋さんからみて『持ち家が得ですか?賃貸が得ですか?』などと聞かれます。
いくら家賃を支払っても自分のものにならないから、持ち家が得だよ、とか、設備とかが壊れた時などの修繕にお金がかかるから、持ち家は損だよ、とか皆さんそれぞれお考えがあると思います。
そこで今回は、不動産会社としての意見というと、同じ業界の人から反感を買う部分もあるかもしれませんので、25年以上この業界に携わり、何百人ものお客様にマイホームを紹介させていただいた、私個人的な意見として書かせていただきます。
また、エリアによって街中など一戸建てが少ない場所もありますので、今回の記事は都心から車で30分から1時間くらい離れた郊外をイメージして、書かせていただきます。
なにが得でなにが損かの見極め方
持ち家が得か?賃貸が得か?を見極めるにあたり、考え方を少し細分化してみたいと思います。
1.物件について
2.ライフプランについて
3.ランニングコストについて
4.支払いについて(家賃・住宅ローン)
この4つについて、持ち家と賃貸どちらが得かを一緒に考えていきましょう!
1.物件について
物件について賃貸がいいのか所有がいいのかを考えてみましょう。
戸建てに関しては、最近は所有している家を賃貸に出される方や、最初から賃貸目的で建てられた戸建ても増えてきました。
またマンションは、分譲マンションを所有している方が賃貸に出されたり、分譲マンション以上の高級賃貸住宅などが増えてきています。
所有の方が、間取りなどが自分好みでできるなどのメリットはありますが、場所さえそんなにこだわらなければ、ある程度のいろいろな間取りから選ぶことができると思います。
逆に、賃貸の方が需要を考えて、計画・建築されるためいい場所(便利な場所)にあることが多い気もします。
上記のことから、物件で賃貸がいいか所有がいいかの区別は難しいと思います。
2.ライフプランについて
ライフプランからみた、持ち家がいいか?賃貸がいいか?
一生この場所に住むぞ!!と自信がある方は所有、年をとったらもっと便利な場所に引っ越そうかと考えている方は賃貸かもしれませんね。
少し話はずれますが、ライフプランに合わせて引っ越しをするなら賃貸という考え方は日本独自の考え方だと思います。
なぜかというと、外国ではライフプランに合わせて家を買い替えるという考えが当たり前になっているのですが日本は違います。
それは、日本の建物は所有すればするほど基本的には価値(値段)が下がってしまうのです。それに比べ外国では、基本的に建物の価値はメンテナンスさえしっかりできていれば、さほど建物の価値(値段)が下がるということはないのです。
この話に関しては、この話題だけで十分に1記事が出来てしまいますので、別の記事で解説させていただきます。
ですから、日本ではライフプランに合わせて、家を買い替えることは難しいためライフプランに自由度を求める方には賃貸がお勧めでしょう。
3.ランニングコストについて
ランニングコストからの視点で、持ち家か?賃貸か?を考えてみましょう。
この点に関しては、皆さんもよく理解されている通り、所有だと自己負担しないといけないものが、
・固定資産税
・庭木の剪定等
・浄化槽などの点検清掃
・設備等が壊れた時の修理・交換代
・10年から15年に一度大規模修繕
など
そして、これはライフプランに入る部分かもしれませんが、
①自分たちが若い頃
②子育て世代の頃
③子供が巣立って出て行ったあと
④自分たちが年を取ったとき
と、状況が変わっていきます。
その時にふさわしい間取りに都度変更していくのは非常に大きなコストがかかります。
このことから、ランニングコストでいうと圧倒的に賃貸の方が有利だと思います。
4.支払いについて(家賃・住宅ローン)
支払からみた、持ち家か?賃貸か?について考えてみましょう。
よく、毎月の支払いが家賃と住宅ローンと変わらないなら、いつか自分のものになる住宅ローン(持ち家)のほうがいいよね!という意見を耳にします。
確かに、その考えは間違っていないと思います。
ただ、そう考えるときに、基準になる毎月の金額(家賃・住宅ローン)をどのくらいの金額に設定しているかが重要だと思います。
例えば、 夫婦共働きで子供がいない状態で毎月8万円の家賃が払えているとして、同じ金額で住宅ローンを組んでしまうと、子供が出来て一時的にでもお奥様が働けれなくなった場合、予定が大きく変わってしまいます。
そんな時、賃貸であれば、その時の収入に合わせて住み替えをすることができます。
そこまで考えて、35年ローンの支払い計画が出来ているのであれば問題ないと思いますが、家賃と一緒だからという安易な考えはすごく危険ですので注意してください。
また、いつかは自分のものになるからといいますが、住宅ローンの支払いが終わる35年後の資産価値を、イメージするのは難しいことですが、いまの日本では確実に建物の価値はなくなり、土地の価値もどうなるかわからない時代ですのであまり安易な考えはやめた方がいいと思います。
ただ、日本の政策として、住宅ローン控除など持ち家の人だけに税制優遇などの特典がありますのでその部分では持ち家の方が有利です。
このことから、一般的に考えると賃貸の方がいいと思うのですが、ここでひとつ一発逆転??の持ち家の方が断然有利という事柄がありますので次の項目で解説させていただきます。
住宅ローン vs 現金購入どちらがお得?
ここで、家やマンションを買うなら住宅ローンがいいのか現金がいいのかを考えてみましょう。
住宅ローンを組むのがいいか?現金がいいか?
私の考えは断然、住宅ローンです!
理由は、
1.低金利であること。
世界的にみても日本の住宅ローンは低金利で、金利が1%以下で長期間(最長35年)借りれるのであれば、手元に資金があっても住宅ローンを借りて、手元資金をほかの投資に使うなどした方がいいと思います。
2.住宅ローン控除が使えること
収入制限や上限額はありますが、条件を満たせば、所得税・市県民税などが一定期間やすくなります。(年収や購入金額が高い人ほど恩恵が大きいです)
3.団体信用生命保険(団信)に入れる
住宅ローンを組むとき、債務者(お金を借りた人)がなくなった場合などに、住宅ローンの残金を保険が支払ってくれるシステムです。(保険料は金利に込みの場合が多い)
この3大メリットがある以上、ある程度手持ち資金があっても、金利がもったいないとか、借金は嫌という気持ちはわかりますが、出来るだけ住宅ローンを組んだ方がメリットは大きいと思います。
その中でも、3番目の団体信用生命保険に関しては、私が今回のテーマである賃貸が得か?持ち家が得か?を大きく決定づける内容が含まれていますので次の章で解説します。
団体信用生命保険について
現在、ほとんどの金融機関が住宅ローンを融資する条件として、団体信用生命保険(以下『団信』といいます)の加入を条件化しています。
団体信用生命保険(団信)とは
住宅ローンを借りた人が、病気や事故で亡くなった場合等に住宅ローンの残高を保険会社が支払ってくれるシステムです。
以前は、団信というと死亡時や高度障害になった時にしか出ない保険が多かったのですが、現在では各金融機関が顧客獲得を金利戦争だけでは限界があるので、団信の内容で差別化を図って顧客の獲得に力を入れています。
団信の種類
先ほど説明した通り、以前の団信というと死亡時や高度障害になったときしか、保険がきかなかったのですが現在では、
・がん団信
・三大疾病団信
・七大疾病団信
・八大疾病団信
など、各金融機関が様々な団信を提供しています。
八大疾病とは、
・ガン(上皮内ガンを除く)
・急性心筋梗塞
・脳卒中
・高血圧症
・糖尿病
・慢性腎不全
・肝硬変
・慢性膵(すい)炎
に万が一なってしまったら、住宅ローン残高をすべて保険会社が支払ってくれて、マイホームが完全に自分のものになります。
一般的には、生命保険会社で保険に入るよりは掛け金が安く、保険料が住宅ローンの金利に含まれていたり、例えば0.2%金利を上乗せすれば保証が充実したりします。
団信の保険期間
団信の保証期間は、基本的には最大79歳までで、ローンの残高がある間(借入期間中)ローン残高に対し保険がききます。
団信加入による持ち家と賃貸との比較
ここで、賃貸と持ち家どちらがお得か?という話に戻りましょう。
団信の話が出るまでは、なんとなく賃貸の方が有利かと思いますが、団信の仕組みを知ると断然持ち家の方がお得だと思います。
団信加入による、賃貸にはないメリット
わかりやすく例え話で解説します。
例①
ご主人40歳(正社員)・奥様39歳(パート)・子供2人(小学生と中学生)
ご主人が、がんで死亡
この場合、残っている住宅ローンは団信(保険)で支払われ、残された家族には住宅ローンがない家が残されました。
もし賃貸生活だったら、当然家賃の支払いは続き、契約者がなくなったということで引っ越しをしないといけない場合もあるかもしれません。
奥様はパートだけなので、なかなか貸してくれる大家さんもいなくて住むところに困ることもあるかもしれません。
例②
ご主人65歳無職・奥様60歳無職
今年、脳卒中で死亡
残っている住宅ローンは団信(保険)で支払われ、残された奥様には住宅ローンがない家が残されました。
もし賃貸生活だったら、当然家賃の支払いは続き、契約者がなくなったということで引っ越しをしないといけない場合もあるかもしれません。
奥様は無職なので、なかなか貸してくれる大家さんがいないという状況になることも考えられます。。
などなど、もっといろいろなケースが考えられますが、団信に入っているだけで賃貸ではない安心感と保証を家族に残すことが出来ます。
もちろん資産という面でも、残された家が広くて必要なければ売ることもできて家族にお金を残してあげることもできます。
ローンを支払うことで、支払いが終われば家族に資産を残してあげるという考えはリスクを伴うと思いますが、万が一の時に、家族に資産が残せるというのは非常に大きなメリットだと思います、
まとめ
いかがでしたでしょうか?
持ち家がいいか?賃貸がいいかには?なかなかはっきりとした答えがないのが事実ですが、この団信があるかないかで大きな差ができると思います。
私の最終的な答えとしては、団信付きの住宅ローンで家を購入するなら持ち家!
現金で購入したり、住宅ローンを繰り上げ返済でどんどん返していこうとお考えの方には、持ち家ではなく賃貸をお勧めします。
余談ですが、現在私は15年前に購入した持ち家があります。
子供も大きくなったので、部屋数が少なくなってもいいので、もう少し便利な場所に引越ししたいと考えています。
今の家を売って、新しい家を買うか?賃貸生活にするか?
普段の仕事で皆様に、家を販売している私の立場でこんなことを言うのは間違っているかもしれませんが、現在本気で悩み中です。
正式に決まりましたら、また記事にしてお届けします。
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